今期(2021-2022年)で12年目を迎える横浜旭ライオンズクラブの薬物乱用防止委員会活動は、コロナ禍の今にこそ大きな意味があります。
横浜市旭区にある計36校(小学校24校、中学校12校)に対して、4月に薬物乱用防止教室の案内を出して、その内毎年約15校に対して薬物乱用防止教室を実施させていただいております。今期も12校に対して実施しており、コロナ禍において授業数が少なくなっている中でも開催要望が途絶えることはありません。
皆さんもご存じのことと思いますが、厚生労働省の「第五次薬物乱用防止五か年戦略」フォローアップによると平成25年(2013)から令和2年(2020)までに最も増えた薬物事犯が大麻事犯であり、大麻事犯の検挙人数で全体でも3.3倍に膨れ上がっていることも問題ですが、特に20歳未満の検挙人数が11.0倍と低年齢化が大きな問題となっています。(2021年6月25日厚生労働省発表)
事実、学校側との事前打ち合わせにおいて昨年度までは配慮の必要な生徒がいるか確認をしても特にいませんでしたが、今年度は保護者が薬物事犯により摘発されてしまったケースや市販薬の過剰摂取が疑われている生徒の話を聞くようになりました。他人事ではいられないのがわかります。
このため、ただ単純に「薬物乱用は体に毒」や「一生元には戻らない」と伝えるだけの薬物乱用防止教室では薬物を乱用してしまっている生徒や保護者に対しての不安感を煽るだけになってしまっているのではないでしょうか?
これも記憶に新しいリーマンショックで増加した精神疾患の患者数よりも、新型コロナウイルスによる心の閉塞感や経済状況の悪化から精神疾患の患者数が3倍に増えることも予測されており、不安感の増加している今こそ薬物事犯に対する心構えを多くの方々に知ってもらいたいのです。
ここで提言したいのが薬物乱用防止教室の形をもう一度定義していきたいということです。
薬物乱用が危険であることを伝える活動を1.0としたとき、防衛のための手段を生徒たち自身に考えて身につけてもらう活動(グループ討議の活用など)を2.0、ここまでは個人での防衛手段でしたが、これからは集団での防衛手段や誰かを助けるために何ができるのかを考えてもらいたいのです。
具体的には、グループ討議で議論してもらう内容に「集団で防衛するために何ができるのか」といった内容を追加することや、生徒だけに学習してもらうのではなく、PTAや自治会などの地域社会に対しても薬物乱用防止教室を広げていくこともできるかと思います。
小職も地元の小学校のPTA会長として学校と関わりを持っていますが、これを機に学校の先生や保護者の皆さんをはじめとした地域の皆さんに薬物事犯に対する心構えを持ってほしいと思います。
薬物乱用に対して、まずは知識を持つこと、そして自分の身を守ること、次に身近な人を守るために何ができるのかを考えていくことが今後の薬物乱用防止教室に必要なことだと確信して寄稿を終えさせていただきます。
3R-1Z 横浜旭ライオンズクラブ 第1副会長 L吉田 正利
発信 マーケティング・地区ニュース委員会